行政書士試験の過去問を漫画・イラストで対策

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TOP /  民法 / イラスト講座 / 意思表示 更新日2017年7月(2017年8月3日アップデート)
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行政書士試験の民法に関する知識ですが、その他資格試験でも有用な情報です。
公務員試験、司法試験、司法書士試験、宅建など

※民法改正について(平成29年6月2日公布)
改正点なし 94条(通謀虚偽表示)

「通謀虚偽表示の基礎知識」と落としてはいけない過去問【行政書士試験】

基礎を制する者は受験を制するということで、はじめに基礎知識について解説をします。 それに対して、本知識で解くことの出来る過去問を並べます。 基本的な知識による問題は、本試験において最も重要度の高い問題です。落とすと一気に苦しくなります。

意思の不存在とその類型

意思表示が行われた際の「内心における真意」と「表示」が一致しないことを意思の不存在と言う。
意思の不存在には、3つの類型が規定されています。

93条 心裡留保
94条 通謀虚偽表示
95条 錯誤無効

通謀虚偽表示

(虚偽表示)
第九十四条  相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2  前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

表意者は売買するつもりがない(真意がない)のに、相手方とグルになって売買契約を締結するようなケースです。
このような意思表示は原則として無効です。
借金による差押え逃れ、税金逃れ、といった場合に仮装譲渡されることがあります。

以下通謀虚偽表示の例

表意者「借金が増えすぎてもう破産寸前だ!しかし、この家だけは手放したくない!そこで、にゃん太にお願いがあるんだ。」
にゃん太「どうしたにゃん?なんでも言うにゃん!友達にゃん!」
表意者「俺の不動産をにゃん太に売ったことにして、登記名義を移したいんだ。そんで色々済んだら返してほしい。」
にゃん太「良いにゃんよ。」

このように、相手方と通謀してした虚偽の意思表示は原則として無効です。

善意の第三者

原則は無効ですが、94条2項で、この虚偽の意思表示による無効は「善意の第三者に対抗することができない」と定められています。

にゃん太「表意者から家の登記名義を僕に移したけど、この家売っちゃおうかニャ!」
にゃん太「ねえ、第三者さん、この家買わないかにゃん?お買い得にゃんよ~。」
第三者「そうだな、良い条件だね。よし買った!」

第三者が現れなければ、表意者はにゃん太に対し契約の無効主張をすることができました。
ところが、虚偽の意思表示により売買がされていたなんて事を知らない第三者が現れたら、表意者はこの無効主張を第三者に対抗することができなくなります。

このように虚偽の外観を信頼した善意の第三者を保護することを「権利外観法理」といいます。

シンプルだがひっかかる問題

過去問と同趣旨の問題です。少し基礎知識からは外れるかも知れません。

問題.AがBと通謀してAの不動産を仮装譲渡しました。
Aの一般債権者Cは、A・B間の売買の無効を主張して、Bに対して、甲土地のAへの返還を請求することができる。

答えは「できます」。Cは債権保全のため、A、B間の売買契約の無効を主張して、AのBに対する甲土地の返還請求権を代位行使することができます。

「一般債権者」というワードから第三者にあたらないと判断された方も多いかと思いますが、第三者にあたらない一般債権者の代表例は、仮装譲受人の一般債権者の場合になります。
いきなり出鼻をくじくような問題だったかもしれませんが、本問は気を付けておいた方が良いのであえてピックアップしました。

第三者の範囲

まず、第三者とは、

「虚偽の意思表示の当事者またはその一般承継人以外の者であって、その表示の目的につき法律上の利害関係を有するに至った者(最判昭45年7月24日)」

「虚偽表示の当事者または一般承継人以外の者であって、虚偽の外観を信頼して、新たな法律上の利害関係を有するに至った者(最判昭42年6月29日)。」

94条2項は、虚偽の外観を信じた第三者を保護することが目的です。
以下、善意の第三者に該当する判例、該当しない判例になります。

該当する判例

  1. 不動産の仮装譲受人から、その目的物を譲り受けた者(最判昭28年10月1日)
  2. 不動産の仮装譲受人から、その目的物について抵当権の設定を受けた者(大判昭6年10月24日)
  3. 虚偽表示の目的物を差し押さえた仮装譲受人の債権者(最判昭48年6月28日)
  4. 仮装債権の譲受人(大判昭13年12月17日)

該当しない判例

  1. 仮装譲受人の一般債権者(大判昭18年12月22日)
  2. 債権の仮装譲受人から取り立てのため債権を譲り受けた者(大判昭6年10月24日)
  3. 債権が仮装譲渡された場合の債務者(大判昭8年6月16日)
  4. 一番抵当権が仮装で放棄され、順位が上昇したと誤信した二番抵当権者(通説)
  5. 土地の仮装譲受人から土地上の建物を賃借した者(最判昭57年6月8日)

転得者

ケース1

AとBが通謀して不動産の仮装譲渡がされたとします。
Bが悪意のCに当該不動産を売却。その後、Cから善意のDに譲渡された場合どうなるでしょうか。

A→B→C(悪意)→D(善意)

この場合、転得者のDは第三者にあたりますので、AはDに対し無効主張を対抗することができません。

ケース2

AとBが通謀して不動産の仮装譲渡がされたとします。
Bが善意のCに当該不動産を売却。その後、Cから悪意のDに譲渡された場合どうなるでしょうか。

A→B→C(善意)→D(悪意)

Aは虚偽の外観を自ら作った帰責性がありますが、Dは通謀に対し悪意であり法的保護を与えなくてもよいように思えます。
では、どちらに軍配があがるかというと、まず、Aが善意のCに対抗できないのは分かりますよね。
Cは確定的に所有権を取得しており、その後、悪意者が現れても、Cから権利を取得することとなるので悪意であってもDは保護されるという考え方が取られます。 これを、絶対的構成といいます。
AはDに対し無効主張を対抗することができません。

落としてはいけない過去問

上記解説と関係する問題を掲載します。
このような問題が落としてはいけない問題です。

平成27年問28の3
正誤問題.土地の仮装譲渡において、仮装譲受人が同地上に建物を建設してその建物を他に賃貸した場合、建物賃借人において土地譲渡が虚偽表示によるものであることについて善意であるときは、土地の仮装譲渡人はその建物賃借人に対して、土地譲渡の無効を理由として建物からの退去および土地の明渡しを求めることができない。

平成22年問27の5
正誤問題.Aが、差押えを免れるためにBと謀って動産をBに譲渡したことにしていたところ、Bが事情を知らないCに売却した場合、Cに過失があるときには、Aは、Cに対してA・B間の譲渡契約の無効を主張できる。

平成20年問27のア
正誤問題.Aが自己の所有する甲土地をBと通謀してBに売却(仮装売買)した場合、民法の規定および判例に照らし、妥当でないか答えよ。
Bが甲土地をAに無断でCに転売した場合に、善意のCは、A・B間の売買の無効を主張して、B・C間の売買を解消することができる。

平成20年問27のイ
正誤問題.Aが自己の所有する甲土地をBと通謀してBに売却(仮装売買)した場合、民法の規定および判例に照らし、妥当でないか答えよ。
Bが甲土地をAに無断でCに転売した場合に、善意のCに対して、AはA・B間の売買の無効を対抗することはできないが、Bはこれを対抗することができる。

平成20年問27のエ
正誤問題.Aが自己の所有する甲土地をBと通謀してBに売却(仮装売買)した場合、民法の規定および判例に照らし、妥当でないか答えよ。
Bが甲土地につきAに無断でEのために抵当権を設定した場合に、Aは、善意のEに対して、A・B間の売買の無効を対抗することができない。

平成20年問27のオ
正誤問題.Aが自己の所有する甲土地をBと通謀してBに売却(仮装売買)した場合、民法の規定および判例に照らし、妥当でないか答えよ。
Bの一般債権者FがA・B間の仮装売買について善意のときは、Aは、Fに対して、Fの甲土地に対する差押えの前であっても、A・B間の売買の無効を対抗することができない。

落としても仕方のない過去問

平成27年問28の2
正誤問題.財団法人(一般財団法人)の設立に際して、設立関係者全員の通謀に基づいて、出捐者が出捐の意思がないにもかかわらず一定の財産の出捐を仮装して虚偽の意思表示を行った場合であっても、法人設立のための当該行為は相手方のない単独行為であるから虚偽表示にあたらず、財団法人の設立の意思表示は有効である。

平成27年問28の4
正誤問題.仮装の売買契約に基づく売買代金債権が他に譲渡された場合、債権の譲受人は第三者にあたらないため、譲受人は、譲受債権の発生原因が虚偽表示によるものであることについて善意であっても、買主に対して売買代金の支払を求めることができない。

平成27年問28の5
正誤問題.金銭消費貸借契約が仮装され、借主に金銭が交付されていない場合であっても、当該契約に基づく貸金債権を譲り受けた者は、譲受債権の発生原因が虚偽表示によるものであることについて善意であるときは、借主に対して貸金の返済を求めることができる。

平成20年問27のウ
正誤問題.Aが自己の所有する甲土地をBと通謀してBに売却(仮装売買)した場合、民法の規定および判例に照らし、妥当でないか答えよ。
Aの一般債権者Dは、A・B間の売買の無効を主張して、Bに対して、甲土地のAへの返還を請求することができる。

※平成13以前の過去問は著作権の関係上掲載しておりません。

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