行政書士試験の過去問を漫画・イラストで対策

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TOP /  民法 / イラスト講座 / 制限行為能力者 更新日2017年7月(2017年8月2日アップデート)
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行政書士試験の民法に関する知識ですが、その他資格試験でも有用な情報です。
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「制限行為能力者の返還義務と法定追認の基礎知識」と落としてはいけない過去問【行政書士試験】

基礎を制する者は受験を制するということで、はじめに、制限行為能力者の返還義務などの基礎知識について解説をします。 それに対して、本知識で解くことの出来る過去問を並べます。 基本的な知識による問題は、本試験において最も重要度の高い問題です。落とすと一気に苦しくなります。

※民法改正について(平成29年6月2日公布)
改正点有り 121条(取消しの効果)、125条(法定追認)

制限行為能力者の返還義務

制限行為能力者のした法律行為が取り消された場合の、「取消しの法律効果」は、民法121条に規定されています。

根拠条文
(取消しの効果)
第百二十一条  取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。 ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。

例えば、未成年者Aが自身の持っているバイクを10万円でXに売ったとしましょう。
その後、制限行為能力を理由に契約が取り消されたとします。

取消されたことにより契約は初めから無かったこととなり、未成年者AとXの間には互いに原状回復義務が生じます。
Xはバイクを返還し、未成年者Aは10万円を返還するのがスジです。

ところが、未成年者Aが10万円のうち、5万円を遊興費、3万円を生活費に使い、残額が2万円になったとします。このとき未成年者AはXに対し、いくら返還しなければならないか。

答えは、5万円の返還になります。内訳は、生活費3万円と残った2万円です。

これが、「現に利益を受けている限度」での返還義務になります。遊興費の5万円は返還しなくて良いのです。

法定追認について

追認をすると契約は有効になります。
「追認します」と明確に意思表示をするだけでなく、 「一定の事実があったこと」により法律上当然に追認したものとみなされます。 これを法定追認と言います。

根拠条文
(法定追認)
第百二十五条  前条の規定により追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない。
一  全部又は一部の履行
二  履行の請求
三  更改
四  担保の供与
五  取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
六  強制執行

追認が出来るようになったあともずっと取消権が残ると、追認の有無について法律関係が複雑化してしまうため、法的安定性を図るというのが趣旨です。
以下事例を踏まえて解説をします。

事例1

未成年者Aが自己所有のバイクをXに売った。

(1)成年に達したAが、バイクの売買代金債権をYに譲渡したとします。
Aは、1人前の大人になってから売買代金債権を譲渡しています。自ら進んで行為に及んで、「やっぱり取消します」とはいきません。
よって取消権者が権利を譲渡した場合、追認みなしとなります(民法125条1項5号)。

(2)Aが成年となった後に、Xがバイクの引渡請求権をZに譲渡したとします。
今度は、Aはまったく関与していません。
このように取消権者が追認にあたるような行為に及んでいない場合は、追認みなしとはなりません。

125条1項5号は、取消権者が譲渡した場合のみ追認みなしとなるということです。

事例2

未成年者Aが自己所有のバイクをXに売った。

(1)Aが成年した後にXにバイクを引き渡したとします。
Aが自ら進んで契約の履行をして「やっぱり取り消します」とはいきません。
よって取消権者が履行した場合、追認みなしとなります(民法125条1項1号)。

(2)Xが成年に達したAに対し、代金の支払いをしAが受領した。
Xが債務(代金支払)を履行しています。この場合、事例1と違いAは受領していますね。受け取っておいて「やっぱり取り消します」とはいきません。
このように、取消権者が相手方の履行を受領する場合も追認みなしとなります。

このように125条1項各号は取消権者自らが請求する場合だけ追認みなしになる場合と、相手方の行為を受けた場合も含める場合に分かれます。

なお、取消権者は取消権の存在を知っていることは法定追認の要件にはなっていません。自らが取消権を持っていたことについて知ってようが知るまいが、一定の事実が生じることで追認みなしとなるということです。

根拠条文
(法定追認)
第百二十五条  前条の規定により追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない。
一  全部又は一部の履行
二  履行の請求(取消権者がした時だけ)
三  更改
四  担保の供与
五  取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡(取消権者がした時だけ)
六  強制執行(取消権者がした時だけ)

取消権の期間制限

追認できる時から5年
行為の時から20年

改正民法の解説

以下のリンクにて解説しています。
民法改正 第121条(取消しの効果)、125条(法定追認)について

落としてはいけない過去問

上記解説と関係する問題を掲載します。
このような問題が落としてはいけない問題です。

平成17年問24のイ
正誤問題.制限行為能力を理由に法律行為が取り消された場合に、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。

平成18年問27の1
正誤問題.制限行為能力者が自己の行為を取り消したときには、相手方は受け取っていた物を返還しなければならないが、相手方は、制限行為能力を理由とする取消しであることを理由に、現に利益を受けている限度で返還をすれば足りる。

平成16年問25の1
正誤問題.Aが19歳の時に、その法定代理人Bの同意を得ずにCにAの所有する不動産を売却した場合に、AおよびBは、Aが成年に達したときには、AC間の売買契約を取り消すことはできない。

平成23年問27のエ
正誤問題.BがAに強迫されて絵画を購入した場合、Bが追認をすることができる時から取消権を5年間行使しないときは、追認があったものと推定される。

平成23年問27のオ
正誤問題.未成年者であるBが親権者の同意を得ずにAから金銭を借り入れたが、後に当該金銭消費貸借契約が取り消された場合、BはAに対し、受領した金銭につき現存利益のみを返還すれば足りる。

※平成13以前の過去問は著作権の関係上掲載しておりません。

来週は別の論点について解説するよ。

「未成年者の単独行為」と落としてはいけない過去問【行政書士試験】

「成年後見の基礎知識」と落としてはいけない過去問【行政書士試験】

「制限行為能力者の相手方保護の基礎知識」と落としてはいけない過去問【行政書士試験】

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