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【記述対策】「債務不履行と口頭の提供」を漫画風に解説【行政書士試験H27-問32の肢3、5】

行政書士試験の民法の記述試験において債権の分野は、 過去22問中12回(54%)出題されています。

まずは過去問を読もう(平成27年度 問32)

問題:AがBに対して電器製品を売却する旨の売買契約(両債務に関する履行期日は同一であり、AがBのもとに電器製品を持参する旨が約されたものとする。以下、「本件売買契約」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。

  1. Bが履行期日を過ぎたにもかかわらず売買代金を支払わない場合であっても、Aが電器製品をBのもとに持参していないときは、Aは、Bに対して履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことはできない。
  2. Aが履行期日に電器製品をBのもとに持参したが、Bが売買代金を準備していなかったため、Aは電器製品を持ち帰った。翌日AがBに対して、電器製品を持参せずに売買代金の支払を求めた場合、Bはこれを拒むことができる。
  3. Bが予め受領を拒んだため、Aは履行期日に電器製品をBのもとに持参せず、その引渡しの準備をしたことをBに通知して受領を催告するにとどめた場合、Bは、Aに対して、電器製品の引渡しがないことを理由として履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことはできない。
  4. 履行期日にAが電器製品を持参したにもかかわらず、Bが売買代金の支払を拒んだ場合、Aは、相当期間を定めて催告した上でなければ、原則として本件売買契約を解除することができない。
  5. 履行期日になってBが正当な理由なく売買代金の支払をする意思がない旨を明確に示した場合であっても、Aは、電器製品の引渡しの準備をしたことをBに通知して受領を催告しなければ、Bに対して履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことができない。

債務不履行とは

債務者が正当な理由なく、債務の本旨に従った履行をしないこと。

(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条  債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

債務不履行と口頭の提供【肢3の解説】

A ――→

AがBに電器製品を売却。
AがBの元へ物を持参
両債務の履行期は同時。

A『もしもし、B、今度の日曜日に電器製品を持って行きたいんだけど、どう?』
※日曜日が履行期
B『だめにゃん!その日は受け取れないにゃん!』
A『なんだよ、それじゃあこっちは引き渡しが出来るよう準備したからな!』
B『分かったにゃん。』
履行期日の2日後
B『A君が電器製品持ってこないから損害が発生したにゃん!責任を取るにゃん!』
A『この野郎、まじで言ってるのかよ・・・』
肢3.Bが予め受領を拒んだため、Aは履行期日に電器製品をBのもとに持参せず、その引渡しの準備をしたことをBに通知して受領を催告するにとどめた場合、Bは、Aに対して、電器製品の引渡しがないことを理由として履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことはできない。
AはBに対し電器製品を引き渡す債務を負っています。

債務者は弁済の提供をすることで債務の不履行によって 生ずべき一切の責任を免れることが出来ます(492条)。

弁済の提供は現実にするのが原則です。上記事例でいうと、 電器製品を持参して持って行くことがそれにあたります。

ただし、「債権者があらかじめその受領を拒み」又は 「債務の履行について債権者の行為を要するとき」は 弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすればよいとされています(493条)。

これを「口頭の提供」と呼びます。

「口頭の提供」は、債務不履行責任から免れるための規定!

Aは弁済の準備をし、通知していますのでBから履行遅滞に基づく損害賠償責任を問われません。

※よって肢3は正しい

不特定物の特定

ここで、不特定物の特定に関する論点も解説します。
似たような要件がありますので、一緒に覚えてしまいましょう。

不特定物

物の個性には着目せず、種類、数量、品質等に着目し、その個性を問わない物のこと。
簡単に言うと世の中に同じ物がたくさんあるので代わりのきく物(大手家具メーカーが大量生産している家具など)。

特定物

特定物というのは物の個性に着目した物のこと。こちらは代わりのきかない世界に1個しかない物です(ピカソの絵、中古車、不動産)。

不特定物が特定する要件

債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了したとき

又は

債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したとき

『不特定物』は『特定物』になります。

不特定物が特定物になるとどうなるのかというと、債務者の「無限の引き渡し義務」がなくなることです。

必要な行為とは

債務者の債務が「持参債務」か「取立債務」かで変わります。

持参債務であれば、債務者が債権者の住所地において現実の提供をしたとき。

取立債務であれば、債務者が目的物を分離して準備して通知したとき。

必要な行為が完了し不特定物が特定物になります。

特定物になると、債務者(A)を無限の引き渡し義務から解放!

A君は電器製品が不特定物であるうちは、万一火災や地震で履行期前に自分の持っている電器製品すべてが壊れたとしても、 B君に電器製品を引き渡す義務が残ります。メーカーが大量生産しているのであれば新たに仕入れれば良いだけです。

特定物は世界に1個しかない代わりのきかない物ですので、なくなったらそれまでです。引き渡しの義務は残りませんが、あとは滅失の原因によって債務不履行や危険負担の問題になります。

違いを明確にしよう

口頭の提供

効果:債務不履行責任の免除

要件:
「債権者があらかじめその受領を拒み」又は
「債務の履行について債権者の行為を要するとき」

債務者は、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすればよい。

不特定物の特定

効果:無限の引き渡し義務からの解放

要件:
債務が不特定物の取立債務の場合、必要な行為を完了すること。
必要な行為とは、債務者が目的物を分離して準備して通知すること。

口頭の提供すら不要な場合【肢5の解説】

A ――→

AがBに電器製品を売却。
AがBの元へ物を持参
両債務の履行期は同時。

A『もしもし、B、今日約束の電器製品を持って行きたいんだけど、どう?』
※今日が履行期
B『嫌にゃん!来て貰っても絶対に支払わないにゃん!!理由は良く分からないけど、こんな契約認めないにゃん!』

 

肢5.履行期日になってBが正当な理由なく売買代金の支払をする意思がない旨を明確に示した場合であっても、Aは、電器製品の引渡しの準備をしたことをBに通知して受領を催告しなければ、Bに対して履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことができない。

原則は弁済の提供をしなければ債務不履行責任が生じます。 受領を拒絶していたら口頭の提供を要しますが、口頭の提供すら必要ない場合があります。

債権者Bが弁済を受領しない意思が明確と認められるときは、口頭の提供を要しないでも債務不履行の責任は問われません(判例)。

※よって肢5は誤り。

記述の練習

債務不履行を免れるために、債務者は弁済の提供をすることが出来ますが、 債権者が予め受領を拒んでいる場合には、どのような事をすれば現実の提供をせずに弁済の提供をしたこととなるか30文字程度で答えよ。
※債権者は受領をしない意思が明確とまでは言えない。

債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了したとき 又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときに不特定物が特定するが、 必要な行為とは何の債務でいかなる行為を要するか各30文字程度で記述せよ。

肢1、2、4の解説はこちら

明日は別の論点ついて解説するよ!

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