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2017年6月9日リライトしました。

【記述対策】「留置権の主張」について漫画風に解説【行政書士試験H27-問30】

行政書士試験の民法の記述試験において物権の分野は、 過去22問中6回(27%)出題されています。

まずは過去問を読もう(平成27年度 問30)

問題:留置権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. Aは自己所有の建物をBに売却し登記をBに移転した上で、建物の引渡しは代金と引換えにすることを約していたが、Bが代金を支払わないうちにCに当該建物を転売し移転登記を済ませてしまった場合、Aは、Cからの建物引渡請求に対して、Bに対する代金債権を保全するために留置権を行使することができる。
  2. Aが自己所有の建物をBに売却し引き渡したが、登記をBに移転する前にCに二重に売却しCが先に登記を備えた場合、Bは、Cからの建物引渡請求に対して、Aに対する損害賠償債権を保全するために留置権を行使することができる。
  3. AがC所有の建物をBに売却し引き渡したが、Cから所有権を取得して移転することができなかった場合、Bは、Cからの建物引渡請求に対して、Aに対する損害賠償債権を保全するために留置権を行使することはできない。
  4. Aが自己所有の建物をBに賃貸したが、Bの賃料不払いがあったため賃貸借契約を解除したところ、その後も建物の占有をBが続け、有益費を支出したときは、Bは、Aからの建物明渡請求に対して、Aに対する有益費償還請求権を保全するために留置権を行使することはできない。
  5. Aが自己所有の建物をBに賃貸しBからAへ敷金が交付された場合において、賃貸借契約が終了したときは、Bは、Aからの建物明渡請求に対して、Aに対する敷金返還請求権を保全するために、同時履行の抗弁権を主張することも留置権を行使することもできない。

留置権とは

他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない(民法295条)。

留置するのは、相手方に心理的圧迫を加えて弁済を促すことを目的としています。

腕時計が壊れちゃったにゃん。たかし君、直してにゃん!
にゃん太
いいよ。来週には直した状態で引渡せるから、修理代金の支払いはその時によろしく。
たかし君

弁済期が到来

たかし君、お金忘れちゃったにゃん。今度支払うからとりあえず腕時計返してにゃん!
にゃん太
留置権を主張して返さないぜ!!
たかし君

関係図

留置権図

このように、他人の物を留置する物権のことを留置権と呼びます。

一定の要件を備えることで法律上当然に発生します(このような物権を法定担保物権という)。

一定の要件とは!!

留置権の成立要件

留置権者が他人の物を占有していること。

被担保債権が目的物に関して生じた債権であること。

被担保債権が弁済期にあること。

占有が不法行為によって始まったのではないこと。

関係図

留置権図

留置権の主張 第三者【肢1の解説】

Aは自己所有の建物をBに売却し登記をBに移転した上で、建物の引渡しは代金と引換えにすることを約していたが、Bが代金を支払わないうちにCに当該建物を転売し移転登記を済ませてしまった場合、Aは、Cからの建物引渡請求に対して、Bに対する代金債権を保全するために留置権を行使することができる。
留置権図2

留置権を第三者に主張出来るか?

AとBの関係において、AがBに対して留置権を主張出来るのは明らかです。

では、Bから転売により不動産の登記したCから引き渡しの請求がきたらどうなるのかというと・・・

留置権は物権であることから、第三者に対しても主張することができます(判例)。

よって肢1は妥当である。

留置権の主張 二重譲渡【肢2の解説】

Aが自己所有の建物をBに売却し引き渡したが、登記をBに移転する前にCに二重に売却しCが先に登記を備えた場合、Bは、Cからの建物引渡請求に対して、Aに対する損害賠償債権を保全するために留置権を行使することができる。
留置権図2

登記を得ることの出来なかった者による留置権の主張

不動産が二重譲渡された場合、登記を得ることの出来なかったBが、 履行不能に基づく損害賠償請求権を被担保債権とし、Cに対し留置権を行使できるかといった問題です。

この場合、Bは留置権を主張することが出来ません。

判例は、損害賠償請求権は不動産を目的とする債権が変じたものであり、 不動産に関して生じた債権ではないとし、Bの留置権の主張を否定します。

よって肢2は妥当ではない。

留置権の主張 他人物売買【肢3の解説】

AがC所有の建物をBに売却し引き渡したが、Cから所有権を取得して移転することができなかった場合、Bは、Cからの建物引渡請求に対して、Aに対する損害賠償債権を保全するために留置権を行使することはできない。
留置権図2

他人物売買の買主よる留置権の主張

他人物売買の結果、買主(B)の売主(A)に対する履行不能に基づく損害賠償請求権を被担保債権とし、買主(B)が所有者(C)に留置権を主張できるかといった問題です。

この場合、Bは留置権を主張することが出来ません。

買主が不動産の返還を拒絶したところで、売主(A)が損害賠償するよう間接的に強制するという関係にありません。

Bが不動産を留置してもしなくても、Aは他人物売買の担保責任を負うんですから留置をするかしないかはAにとってあまり関係ないですよね。

判例は、不動産と損害賠償請求権の間に牽連関係が当事者間に存在するとはいえないとし留置権を否定しています。

よって肢3は妥当である。

留置権の主張 賃借人【肢4の解説】

Aが自己所有の建物をBに賃貸したが、Bの賃料不払いがあったため賃貸借契約を解除したところ、その後も建物の占有をBが続け、有益費を支出したときは、Bは、Aからの建物明渡請求に対して、Aに対する有益費償還請求権を保全するために留置権を行使することはできない。
留置権図2

不法占有者による留置権の主張

Bは賃料不払いにより契約を解除されています。その後、正当な権限なく不法に占有しています。

本件は、留置権の要件である「占有が不法行為により始まったものでないこと」にひっかかりアウトです。

Bは留置権を主張することが出来ません。

よって肢4は妥当である。

留置権の主張 敷金【肢5の解説】

Aが自己所有の建物をBに賃貸しBからAへ敷金が交付された場合において、賃貸借契約が終了したときは、Bは、Aからの建物明渡請求に対して、Aに対する敷金返還請求権を保全するために、同時履行の抗弁権を主張することも留置権を行使することもできない。
留置権図2

敷金の返還請求による留置権の主張

特約がなければ敷金返還請求権と建物明渡しの関係は、明渡しが先履行です。

留置権の要件である、被担保債権(敷金返還請求権)が弁済期にあることという要件にあてはまりません。

さらに本問では同時履行の抗弁権が主張できるかも聞いていますが、明渡し先履行ですので同時履行の関係にはありません。

Bは留置権・同時履行の抗弁権のどちらも主張することが出来ません。

よって肢5は妥当である。

ワンポイント

同時履行の抗弁権は第三者に主張出来ないということをセットで覚えよう!

記述の練習

留置権の要件を答えよ。

来週は別の論点を解説するよ。
たかし君

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