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「代理の基礎知識その6 無権代理と相続」と落としてはいけない過去問【行政書士試験】

基礎を制する者は受験を制するということで、はじめに基礎知識について解説をします。 それに対して、本知識で解くことの出来る過去問を並べます。 基本的な知識による問題は、本試験において最も重要度の高い問題です。落とすと一気に苦しくなります。

前回、「代理の基礎知識その5 消滅事由、復代理」について解説しました。
「代理の基礎知識その5 代理権の濫用、不確定無効」と落としてはいけない過去問【行政書士試験】

無権代理と相続

無権代理行為の後、本人または無権代理人の一方が死亡し相続が発生した時に、本人の地位、無権代理人の地位が同一人に帰属した場合の法律関係が問題となります。

例1.本人が死亡 単独相続

無権代理行為により不動産の売買契約が締結されました。
その後、本人は死亡、唯一の相続人である無権代理人がその地位を相続しました。

ここで、無権代理人は、本人の地位を包括承継することとなります。
包括承継とは、権利義務の一切の承継を意味します。

包括承継により、本人が有していた「追認を拒絶することの出来る権利」を無権代理人が主張することが出来るかという問題が生じます。

結論を書くと、出来ません。

なぜ出来なくなるのか、いくつか考え方があります。
まずは、判例の立場から解説します。

資格融合説(判例)

判例要旨:無権代理人が本人を相続し、本人と代理人との資格が同一人に帰するにいたつた場合には、本人がみずから法律行為をしたのと同様な法律上の地位を生じたものと解するのが相当である(最判昭和40年6月18日)。

本人が売ったということですから、契約は当然有効になります。
追認を拒絶する権利や、無権代理人の責任追求といった問題はなくなります。

無権代理人は、追認拒絶権を行使することが出来ないということです。

資格併存説(学説)

無権代理人は、相変わらず無権代理人としての地位もありながら、本人の地位もあわせて有するという考え方です。

本人の地位もあわせて有するなら、追認拒絶することが出来るようにも思えますが、信義則に反するので出来ません。

資格融合説と違い、相手方は催告し追認を求めれば契約を有効にすることができ、
取消しをすれば契約を無かったことにできます。

例2.本人が死亡 共同相続

Bの無権代理行為により不動産の売買契約が締結されました。 その後、本人は死亡、相続人A、Bがその地位を相続しました。

まず、AとBは相続により本人の地位を包括承継することとなります。Aは、追認権・追認拒絶権を有することとなります。
ここで、Aが追認を拒絶すると、どうなるか。

判例:無権代理行為を追認する権利は、その性質上相続人全員に不可分的に帰属する(最判平成5年1月21日)

このように判例は、追認する権利を分けることが出来ないと示しました。
追認をするなら相続人全員の追認がいるということであり、1人でも追認を拒絶するのであれば無権代理行為は有効にならないということです。

1人でもと書きましたが、当の本人である無権代理人が追認拒絶することは信義則上許されません。
無権代理人以外のすべての相続人が追認するとしたのであれば契約は有効になるでしょう。

判例は、共同相続のケースでは、単独相続の時と違い「資格併存説」を取りました。
相手方は無権代理人のBに対し損害賠償請求をすることが出来ます(履行の請求は出来ない)。
※相手方に無権代理の責任追及する要件は整っているものとする。

例3.無権代理人が死亡

続いては無権代理人が死亡したパターンです。判例は、本事案に対し資格併存説を取ります。 本人は、本人の地位として、追認または追認拒絶権を有します。

併存して、無権代理人の地位を有するため、無権代理人の責任を負う可能性があります。
この時、相手方は本人に対し責任追及をするのに、「履行の請求」はできず、「損害賠償請求」しかすることができません。
※相手方に無権代理の責任追及する要件は整っているものとする。

例4.追認拒絶後に本人死亡

本人が追認拒絶をした後に死亡した場合どうなるか。

判例:本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではない(最判平成10年7月17日)

無権代理人が本人のした追認拒絶の効果を主張しても信義則に反しないと判例は示しました。

落としてはいけない過去問

上記解説と関係する問題を掲載します。
このような問題が落としてはいけない問題です。

平成28年問28
Aが所有する甲土地につき、Aの長男BがAに無断で同人の代理人と称してCに売却した(以下「本件売買契約」という。)。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

1.Aが死亡してBが単独相続した場合、Bは本人の資格に基づいて本件売買契約につき追認を拒絶することができない。

3.Aが本件売買契約につき追認を拒絶した後に死亡してBが単独相続した場合、Bは本件売買契約の追認を拒絶することができないため、本件売買契約は有効となる。

4.Bが死亡してAが相続した場合、Aは本人の資格において本件売買契約の追認を拒絶することができるが、無権代理人の責任を免れることはできない。

5.Aが死亡してBがAの妻Dと共に共同相続した場合、Dの追認がなければ本件売買契約は有効とならず、Bの相続分に相当する部分においても当然に有効となるものではない。

平成20年問28の3
正誤問題.Aの子Bが、Aに無断でAの代理人としてA所有の土地をCに売却する契約を結んだ。Aがこの売買契約の追認を拒絶した後に死亡した場合、BがAを単独相続したとしても無権代理行為は有効にはならない。

平成20年問28の4
正誤問題.Aが追認または追認拒絶をしないまま死亡してBがAを相続した場合、共同相続人の有無にかかわらず、この売買契約は当然に有効となる。

※平成13以前の過去問は著作権の関係上掲載しておりません。

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