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TOP /  民法 / イラスト講座 / 民法改正 更新日2017年8月2日
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民法改正 第121条(取消しの効果)、125条(法定追認)について

行政書士試験の法令科目は、試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令から出題されます(行政書士試験研究センターHP)。
改正民法に関しては、最短で2018年度(平成30年度)の本試験から、最長で2021年度(平成33年度)の本試験から適用されることとなります。

現行民法 第121条(取消しの効果)

(取消しの効果)
第百二十一条  取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。

改正民法

(取消しの効果)
第百二十一条 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。

(原状回復の義務)
第百二十一条の二 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。

2 前項の規定にかかわらず、無効な無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、給付を受けた当時その行為が無効であること(給付を受けた後に前条の規定により初めから無効であったものとみなされた行為にあっては、給付を受けた当時その行為が取り消すことができるものであること)を知らなかったときは、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。

3 第一項の規定にかかわらず、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者についても、同様とする。

改正点の解説

121条のただし書きが削除され、新たに121条の2が新設されました。

改正121条の2の1項

121条の2の1項では、無効な行為により給付を受けた者は、相手方を原状回復させる義務があると規定されました。

例.Aが詐欺師に騙されて、お金を支払って絵画を購入したとします。
Aが取消権を行使すると、契約は遡及して無効となります。

Aはお金を支払ったことにより「絵画」の給付を受け、
詐欺師は絵画を売ったことにより「お金」の給付を受けています。

121条の2の1項では、「債務の履行として給付を受けた者」は、相手方を現状回復させる義務を負うと規定しています。

よって、Aは詐欺師に絵画を返還し、詐欺師はAにお金を返還しなければならないということです。

改正121条の2の2項

2項は善意者の保護規定になります。

AがBにお金を贈与する契約(無償)が結ばれました。しかし、この贈与契約には錯誤がありました。Aが錯誤無効を主張した場合、お金は返ってくるでしょうか。

Bが当該贈与契約に錯誤があることを知らず(善意)に、お金をすべて遊興費として使っていた場合、返還しなくてよいことになります。
遊興費ではなく、生活費にあてたということになると返還しなければなりません。

(原状回復の義務)
第百二十一条の二 1項省略
2 前項の規定にかかわらず、無効な無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、給付を受けた当時その行為が無効であること(給付を受けた後に前条の規定により初めから無効であったものとみなされた行為にあっては、給付を受けた当時その行為が取り消すことができるものであること)を知らなかったときは、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
3項省略

改正121条の2の3項

意思無能力者、制限行為能力者の保護規定になります。

これは、現行民法の121条ただし書きの内容が、121条の2の3項に移っただけです。
これまでどおり、制限行為能力者が取消権を行使したら、現に利益を受ける限度において返還すればよいということです。

(原状回復の義務)
第百二十一条の二 1項省略
2項省略
3 第一項の規定にかかわらず、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者についても、同様とする。

現行民法 第125条(法定追認)

(法定追認)
第百二十五条  前条の規定により追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない。
一  全部又は一部の履行
二  履行の請求
三  更改
四  担保の供与
五  取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
六  強制執行

※ 前条の規定は以下のとおり
(追認の要件)
第百二十四条 追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、その効力を生じない。
2項、3項は省略

改正民法 第125条(法定追認)

(法定追認)
第百二十五条 追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない。
1項~6項は改正前と一緒のため省略

改正点の解説

「前条の規定により」の文言が削除されました。
改正による影響は、124条と関係してきます。
現行民法の法定追認は、取消権の存在を知ってすることは要件ではありません(大判昭4年11月22日)。
※成年被後見人は124条2項により了知が必要となるため例外。

改正により、追認は取消権を有することを知った後でなければ効力が生じなくなります。
そうすると、大判昭4年11月22日の判例は変更となり、取消権を有することを知っていた場合にのみ法定追認の効力が生じることとなります。

改正点と関係のある解説および過去問は以下のリンクから
「制限行為能力者の返還義務と法定追認の基礎知識」と落としてはいけない過去問【行政書士試験】

明日以降も民法の改正点について解説するよ。

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