【民法改正の絵本】桃太郎と時効の完成猶予と更新の巻【第147条、第148条】

裁判上の請求

むかしむかし、あるところに
桃太郎という若者がいました・・

桃太郎は、犬にお金を貸していますが
いつまで経っても返って来ません

桃太郎
「犬の奴め、借金が時効で
消滅するのを狙っているな」
「そうはさせぬぞ!」

桃太郎は、権利が消滅しないよう
犬に対し、裁判上の請求をしました

時効は、
裁判上の請求をした時から
完成が猶予されます

時は過ぎ・・・
判決が確定!
裁判は、桃太郎勝訴


「もうすこしだったのに・・」

判決確定時に時効は更新し
新たに進行をはじめます


「また、時がすぎるのを待つワン・・・」

(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)
第百四十七条  次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない
一  裁判上の請求
二  支払督促
三  民事訴訟法第二百七十五条第一項の和解又は民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)による調停
四  破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加
2  前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める

※その事由が終了するまでの間は、時効は、完成しない=時効の完成猶予

※同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める=時効の更新

強制執行

裁判に勝った桃太郎は
犬の財産に強制執行を
かけることにしました

桃太郎
「犬のやつ、ろくな財産
もってなさそうだなぁ・・
しかし、確定判決を
手に入れたんだ、
強制執行してみるか」

桃太郎は裁判所へ行き
強制執行の申立ての手続をし、
強制執行が開始されました

時効は、
強制執行を開始したときから
完成が猶予されます

犬の銀行口座が差押えられることで、
銀行(第三債務者)は、
犬(債務者)に対し、
預金の払戻し(債務の弁済)を
禁止されます

犬に差押命令書が
送達されて1週間が経過し、
桃太郎が銀行に犬の預金を
取立にいくと・・

桃太郎
「うおおぉい!犬!
唯一と思われる口座に
50円しかねえ!」
「くそ、こうなったら
他に財産がないか
じっくり調べてやる」

強制執行が終了したときから
時効は更新し
新たに進行をはじめます

(強制執行等による時効の完成猶予及び更新)
第百四十八条  次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない
一  強制執行
二  担保権の実行
三  民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百九十五条に規定する担保権の実行としての競売の例による競売
四  民事執行法第百九十六条に規定する財産開示手続
2  前項の場合には、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。ただし、申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合は、この限りでない。

※その事由が終了するまでの間は、時効は、完成しない=時効の完成猶予

※同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める=時効の更新

次のページで解説をしています。

【民法改正の絵本】鬼畜!桃太郎と消滅時効の巻【第724条】

むかしむかし、あるところに、
桃太郎という若者がいました・・

桃太郎は、鬼退治をしたあとも
鬼に対して暴力を振るっていました

桃太郎
「おらぁ、鬼退治だぁ!」


「やめてください!
もう、悪いことしていません!」

鬼の生命・身体に損害が生じました


「訴えてやる・・・
時効期間も生命身体損害だから、
損害及び加害者を
知った時から3年ではなく、
5年間に延びるし、
根気よく請求するぞ!」

桃太郎
「5年?条文をよく見ろ
人の生命・身体のと、書いてあるだろ
お前らは人ではない
鬼だ!
だから法適用などない!」


「この人、鬼だ!!」


「鬼、辞めさせていただきます!」

(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第七百二十四条  不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一   被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二   不法行為の時から二十年間行使しないとき。

(人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第七百二十四条の二   人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用については、同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする。

解説

不法行為の消滅時効に、人の生命又は身体を害する場合の特則が出来ました。不法行為による損害で、人の生命身体侵害の場合には、主観的起算点が3年から5年に伸長します。

また、724条1項2号の不法行為の時から20年の期間は、改正前は判例法理により除斥期間であると解されていましたが、改正により時効期間であることが明らかとなります。

消滅時効の表

  起算点 行使期間
債権(166条) 権利を行使することができることを知った時から 5年間
行使することができる時から 10年間
債権・所有権以外の財産権(166条) 権利を行使することができる時から 20年間
人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権(167条) 権利を行使することができることを知った時から 5年間
権利を行使することができる時から 20年間
不法行為による損害賠償請求権(724条) 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から 3年間
不法行為の時から 20年間
人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権(724条の2) 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から 5年間
不法行為の時から 20年
定期金債権(168条) 定期金の債権から生ずる金銭その他の物の給付を目的とする各債権を行使することができることを知った時から 10年間
各債権を行使することができる時から 20年間