【民法改正の絵本】危険負担の巻【旧534条、旧535条、536条】

このお話しは、「契約解除の巻」の続きになります。

【契約解除の巻のあらすじ】

鬼退治に行くために、おじいさん、おばあさんと、キビ団子の売買契約を結んだ桃太郎。

契約を締結したのは良いが、落雷により、おじいさん、おばあさんの家と共に「キビ団子作成マシーン」が壊れてしまった!

誰のせいでもなく、キビ団子の売買契約は、履行することが出来ない状態に。

そこで桃太郎は、売買契約を解除しようと思ったのだが・・

結果的におまえさんに、キビ団子を渡せなかったけど、色々と準備にお金も掛かったし、売買代金を請求させておくれよ。

え?キビ団子を受け取ってないけど・・・

仕入れにかかった費用が無駄になるのかい!
そんなの許さないよ!!
だ・い・き・ん(バン)
だ・い・き・ん (バン)
さっさと、だ・い・き・ん
よこせ!(バンバン)

うぅ、おばあさんが悪いわけじゃないけど、 キビ団子を受け取ってないのに代金を払わないといけないの!?
布団叩きながら代金請求してきて怖いよ・・

果たして桃太郎は、引渡しを受けてないにも関わらず、売買代金を支払わなければならないのか?

答えは、、、

桃太郎は、売買代金の支払いを拒むことができるよ!

ふぅ、良かった。

当事者双方の責めに帰することが出来ない事由によって、債務を履行することができなくなったとき、債権者(桃太郎)は反対給付(代金の支払い)の履行を拒むことができます。

改正前の危険負担は、「債権者主義」「債務者主義」と、危険の負担先を分けて考えていました。

例:不動産の売買契約をし、引渡前に債務者の責めに帰すべき事由なく滅失した場合、債権者が危険を負担することとなり、売買代金を支払わなければならないことになります(債権者主義)。

しかし、534条、535条の条文が削除され、536条が改正されたことで、「債権者主義」「債務者主義」と分けて考える必要はなくなります。

危険負担は、停止条件付双務契約の場合も含めると難解な規定でしたが、ばっさり削除され、とても覚えやすくなりました。

受験性としては助かるぜ!

改正後の危険負担は、「履行拒絶権」と覚えると良いでしょう。

当事者双方に帰責性がなく、契約が履行できなくなったときに、一方から履行を迫られても、それを拒絶することができるということです。

注意が必要なのは、改正前の債務者主義であれば、自働で債務が消滅しましたが、 改正後は、契約から解放されるためには、別途契約解除の意思表示をしなければならないということです。

契約を解除します!

ぐぬぬぬ・・・

536条2項では、債権者の責めに帰すべき事由があれば、債権者は反対給付を拒むことができなくなると規定されています。契約の解除も債権者に帰責事由がある場合にはできませんので、セットで覚えると良いでしょう(543条)。2項後段は改正前と変わりません。

ちなみに、売買契約絡みで改正された567条にも注意が必要です。567条では、目的物の滅失・損傷に関する危険は、引渡しによって売主から買主へ移転する旨規定されています。 引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、買主は、その滅失又は損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができません。この場合において、買主は、代金の支払を拒むことができません。詳しくは条文をご確認ください。

以下、参考文献。

改正後の条文

(債務者の危険負担等)
第五百三十六条  当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
2  債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

(目的物の滅失等についての危険の移転)
第五百六十七条   売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る。以下この条において同じ。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、買主は、その滅失又は損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。この場合において、買主は、代金の支払を拒むことができない。
2   売主が契約の内容に適合する目的物をもって、その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず、買主がその履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失し、又は損傷したときも、前項と同様とする。

改正前の条文

(債権者の危険負担)
削除 第五百三十四条 特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。
2 不特定物に関する契約については、第四百一条第二項の規定によりその物が確定した時から、前項の規定を適用する。

(停止条件付双務契約における危険負担)
削除 第五百三十五条 前条の規定は、停止条件付双務契約の目的物が条件の成否が未定である間に滅失した場合には、適用しない。
2 停止条件付双務契約の目的物が債務者の責めに帰することができない事由によって損傷したときは、その損傷は、債権者の負担に帰する。3 停止条件付双務契約の目的物が債務者の責めに帰すべき事由によって損傷した場合において、条件が成就したときは、債権者は、その選択に従い、契約の履行の請求又は解除権の行使をすることができる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。

(債務者の危険負担等)
第五百三十六条 前二条に規定する場合を除き、当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

平成28年度行政書士試験に合格。平成29年度から本格的に司法書士試験の勉強を開始。平成31年度司法書士試験では、午前午後択一基準点突破。 令和2年司法書士試験へ向け勉強中。 趣味はNBA観戦、格ゲー観戦。
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